名誉と堕落
- まぐろ 櫛野
- 2024年11月22日
- 読了時間: 5分
最近、「ROT FOR CLOUT」という曲にハマっている。
svpの配布もあるし、Blueskyでも話していたが櫛野自身が「無理に流行には乗らないが好きなものが流行ったらその時は堂々と乗っておく」という質なので、曲から誰か想像できないかな、と意識して聴いてみた。(意識せず聴いてて好きだった曲は毎回この作業がある)
それでいざ意識して聴いたら、当てはまるのは「過去の自分」だった。
乗れる流行には乗る。今回も乗らせてもらうにあたって、少し昔話をしておく必要を感じたので、ここですることにした。
* * *
櫛野はつい最近まで絵の仕事をしていたが、他にもうひとつ、仕事のような気持ちで臨んでいたことがある。
配信だ。
つまり櫛野は元ライバーである。声を晒すことを極力控えていたのも、その筋の人と交流が多かったのもそういう理由だ。詮索を控えてほしいと頼んだ理由もここにある。
当然配信媒体や名義については言えないが、在り方としてはいわゆる「セルフ受肉Vライバー」といったところだろうか。とりあえずプラットフォームがYoutubeではなかったのでVtuberとは呼ばないでおこう。そういうルールらしい。
人気はそこまであるとは言えなかったが、櫛野自身も別にそれは気にしていなかった。あまり大規模な存在になっても抱えきれないだろうし、このくらいでいいやと思っていた。
とはいえ配信頻度や内容は完全に企業や大規模ライバーと変わらないものであり、まさに仕事のような気持ちで配信を続けていた。
仕事みたいなものだから、辛いのも我慢した。
仕事みたいなものだから、やりたくないこともやった。
当時はベスも承認欲求が強かったから、かなりしっかりとサポートしてくれていた。
しかし、いわゆる「メン限」にあたる配信で問題は起こった。
このメン限配信で、少し勇気を出してベスの話をしたのだ。大切な人だから紹介したい、と。
すると寄せられたコメントは──
「誰それ、興味無い」
「櫛野ちゃんは好きだけどそのベスって人は嫌い」
すっ、と何かが冷めた感覚があった。
そもそも、私の配信ではかなり……いわゆる「自分語り」のコメントが多く辟易していたのだが、まぁ小規模配信者なんてそんなもんかと諦めていたのだ。
その中でさらにぶっ込まれたのが上述の発言である。
ああ、本当にこの人たちは、私に興味なんて無いんだな、と悟った。自分の話がしたいだけ。それを聞いてくれる可愛い二次元の女の子が欲しいだけ。だからその女の子に自我はいらないし、人間関係はもっといらない。ましてや「大切な人」なんて言い回し、まるで恋人だ。そんなのいらない。
理解してすぐに体調を崩したが、なんとか笑ってきちんとその枠を片付けた。
けれどその後から、複雑な思いを抱え続けることになった。
どうすればいい? どうすればもっと、配信を仕事のようにできる? もっとまともな配信ができる?
他の収入源である有償のイラスト依頼はこれっぽっちも来やしない。それなら配信で稼がなくてはいけない。仕事のように、頑張らなくては。
もっといいねを貰えばいい? 人脈を広げればいい? 動画も、歌も、絵も、もっともっと頑張らなくては。無償のキャンペーンもやって認知度も上げないと。あとは何だ、配信自体の質を上げるか? しかし機材も環境もこれ以上やりようはない、ならば内容か? そうだ、新衣装も作ろう。規約を守れる程度に、しかし媚びたデザインにしよう。他には何が、何がある?
とにかくそうすれば、もっと人気の配信者になれば、コメント欄の治安だって良くなるって、先輩達はみんな言ってた。そうしたら、ベスや私を受け入れてくれる人にも出会える?
もう、くるしまなくてすむ?
──結局、どの努力も実を結ぶことは無く、私は配信からも絵の仕事からも逃げて、『櫛野』になった。
今でも仕事の名前──配信の名前と同じ名前。それを聞くだけでドキッとしてしまう。リスナーの名前でもドキッとする。というか今日見た。心臓止まるかと思った。
もうアカウントも投稿物も全て削除しているので、当時の私の面影は意図的に探しに行かなければ見つからないようになっている。うっかり目に入ることはないだろう。
念の為もう一回言っておくが、この件についての詮索は本当にやめてほしい。絶対に、配信者の櫛野を探さないでほしい。自分の気持ちの整理のために自分から話したり描いたりするのと、他人が心の柔らかい部分を抉るのは全く違うと思う。
あと頼まれても二度と配信はやらない。スペースもやらない。やって精々Discordの通話が限度だ。
本当にお願いします。
* * *
話は戻るが、この「もっともっと愛される配信者になれば幸せになれる?」と模索していた時代が、まさにROT FOR CLOUTの歌詞にピッタリだと思ったのだ。
誰かここから出して、君ならできるでしょ。
神様の許しなんかより、君からのいいねの方が嬉しいの。
自分をナイフで切り刻んで、刻んで……
名誉を求めて、堕落する。
一部抜粋でもこんな感じなのでフルだともっとそれっぽい。
ちなみに今回は自分の代わりなのでボーカルにはFeng Yiを起用した。声を少しアバターに寄せて調節している。
そして今回のために当時の自分をリデザインしたものがこれだ。

まぁもちろん特定対策のため色々変えてはいる。というか大元のコンセプト以外は原型がない。
そうでもしないと使えないだろうからそれでいいけど。
Blueskyにもちょこっと書いたが、どうだろう。いかにも「Vtuberっぽい」デザインではなかろうか?
実際Vライバーが元ネタなんだからそりゃそうだが。
音源はできているのであとはこの子で動画を作るのみである。
あと多分今後も仕事名義の頃の自分の代わりにこのデザインがちょこちょこ出てくるかもしれない。
代理だの創作だのOCだのの分類が面倒なので、恐らく……そうだな……『配信者F』とかそんな名前で使うと思う。
ちなみにFはライバー時代のガチイニシャルである。もうこのV溢れるご時世にイニシャルくらいじゃわからんやろ。大丈夫大丈夫。
しっかし動画用の絵ってほんとに大変なのよな……頑張るけど……
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